喘息とは
喘息とは、空気の通り道である気道(主に気管支)に炎症が起きる疾患のことを言います。炎症によって気道が狭く、敏感になってしまい、咳や痰、息苦しいなどの症状が生じます。さらには呼吸時に「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった呼吸音(喘鳴)がみられるのが特徴です。
発症原因については、ハウスダスト、花粉、食物などのアレルギーの原因物質(アレルゲン)をはじめ、風邪、喫煙、運動、急激な気候変動などが挙げられます。なお喘息の患者様は、アレルギー体質の方が多く、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などを併発されているケースがよくみられます。
また、小児喘息の治療も行っております。(さらに詳しく見る)
診断・診察・検査について
診断でなにより大切なのは問診です
- ぜーぜー、ひゅーひゅーの自覚
- 夜間から明け方にかけての咳の増悪
- 日内変動の有無
- 季節性の変化(花粉の時期に悪化する、天気が悪い日に悪化するなど)
- 線香や香水で咳が誘発される
- 喘息の血縁者がいる
などが当てはまる人は喘息の可能性が高くなってきます。
聴診
- 聴診でwheezes(ウィーズ)狭窄音が聞こえるかどうか。
検査
採血
アレルギー検査を行い、好酸球の上昇やアレルゲンの有無を調べます。
呼吸機能検査
喘息では気道が細くなり気道抵抗や気流制限が起こります。また、気管支拡張薬を吸入すると気道の細さが改善して気流制限が改善する気道可逆性がみられます。 このように気流制限があるかどうか、気道可逆性があるかどうかを検査し診断します。
呼気NO検査
呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。 喘息患者様の気道には炎症があり、炎症が起きると大量のNOが産生されます。そのため呼気中NO濃度を測定する事で好酸球性気道炎症の存在や程度を調べる事ができます。 呼気NOが22ppb以上ならば喘息の可能性が高く、呼気NOが37ppb以上ならばほぼ確実に喘息と診断できると言われています。
モストグラフ検査
気道抵抗を調べる検査です。3~4歳から検査が可能です。この検査が使えるようになって、これまで肺機能検査をすることが出来なかった6~7歳以下の年齢の咳、喘息の治療と管理がとてもやりやすくなりました。
治療について
- 大きく分けて治療ステップは、『安定期』と『発作時』の2種類に分けられます。
安定期
気道の炎症を取ることが最優先の治療です。下記の様な薬剤があります。
①「吸入ステロイド」
気道の炎症を抑えることができ、喘息には一番大切なお薬です。
②「吸入長時間作用型β2刺激薬」
喘息で細くなった気管支を広げるお薬です。(喘息においては基本的に単剤で使用することは無く、吸入ステロイドとの併用で使用します)
③「吸入長時間作用性抗コリン薬」
吸入ステロイドだけではコントロール不十分な喘息に併用します。気管支の収縮を抑制します。
④「内服:ロイコトリエン受容体拮抗薬」
気道粘膜の炎症や浮腫を軽減する効果があります。喘息においては、内服テオフィリンより有効性があると考えられています。
⑤「内服:テオフィリン」
気管支平滑筋の弛緩をもたらします。
⑥「注射:生物学的製剤」
吸入・内服でもコントロール不十分な時に、生物学的製剤という注射薬で治療をします。高価なお薬ですが、有効な人にとってはかなり効果が高いお薬です。
上記の様に安定期には、吸入ステロイドをメインの治療で使用しつつ、コントロールが不十分な時には②〜⑥を組み合わせて治療をしていきます。
発作時
①吸入短時間作用型β2刺激薬
②全身ステロイド投与(内服・点滴)
③アミノフィリン点滴静注
④重症例にはボスミン皮下注
上記の様な治療をしつつ反応を見て、外来治療が可能か、入院治療が必要かを判断していきます。
小児喘息
当院では小児喘息の診療も行っております。お子様の咳が長引いていたり、喘息の検査を希望される方はぜひお越しください。
原則3歳以上の患者様の診療を行っております。
アレルギーをお持ちのお子様は近年増えてきており、それに伴って小児喘息のお子様も増えてきています。小児喘息の主な原因は、ダニや埃、カビや花粉等があげられ、また初期の軽い症状の場合、風邪と見分けがつかないこともあります。
当院では呼吸器内科専門医が、お子様に呼吸器の各種検査を実施し、小児喘息かの診断や原因物質を特定していきます。具体的な検査として、3-4歳になるとモストグラフ検査、5-6歳になると呼気NO検査、7-8歳になるとスパイロメトリー検査ができるようになります。