- 10月 21, 2025
🦠インフルエンザ・コロナが陰性なのに高熱・咳が続く。。。マイコプラズマ肺炎の可能性も。🦠

ここ最近当院でマイコプラズマ肺炎の患者様が増えており、マイコプラズマ肺炎について解説したいと思います。なるべく分かりやすいように、なるべくマイコプラズマの全体像がわかるように説明していますので気軽に読んでいただければと思います。
【マイコプラズマ感染症とは?】
マイコプラズマ属には何種類かありますが、肺炎や気管支炎の原因となるものは「マイコプラズマ・ニューモニエ」といいます。
【感染経路】
マイコプラズマに感染している人が咳やくしゃみをすると、マイコプラズマを含んだしぶき(飛沫)が飛び散ります。その飛沫を直接吸い込んだり、飛沫が付いたものを触った手で鼻や口を触ることで感染します。
【潜伏期間】
マイコプラズマに感染してから、症状が出て発症するまでの期間を潜伏期間と言います。マイコプラズマの潜伏期間は長く、2〜3週間と言われています。(インフルエンザの潜伏期間は1〜3日と言われております。)
【症状】
発熱、咳、鼻水、咽頭痛などの呼吸器症状があります。
その他、下痢や吐き気などの消化器症状・胸痛・皮疹・耳痛なども見られることがあります。
また稀に、中耳炎・無菌性髄膜炎・心筋炎・関節炎なども起こすことがあります。
※インフルエンザも陰性、コロナも陰性なのに、38度〜39度の高熱・咳が数日続く場合には肺炎の精密検査をすることが大切です。
【診断方法】
①抗原検査
・綿棒で喉の奥を拭い検査をします。迅速検査で10〜15分で検査結果は出ますが、陽性の人を陽性と診断できる率は低く、50%〜60%程度とも言われています。言い換えると、陽性であればマイコプラズマ肺炎と診断できますが、陰性でも感染の否定はできにくいということです。
②PCR検査、LAMP法
・綿棒で喉の奥を拭い検査をしますが、迅速検査とは違い診断能力は高いものの検査結果に時間がかります(当院では外注検査で行っており検査結果に数日かかります)
③抗体検査(血液検査)
・マイコプラズマに感染すると体内でマイコプラズマに対抗するための抗体が作られますが、これを採血で測ります。主にPA法が用いられますが、感染後1週間ほどで上昇し、2〜4週間程度でピークに達します。ペア血清で4倍以上抗体値が上昇したら陽性の診断となります(1回目の測定から2〜4週間後に2回目の採血し、抗体値が4倍以上上昇したら陽性ということです。)
色々説明をしましたがここからが皆様が気になる治療方法を解説します。
【治療】
<第一選択>
💊マクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)を使用します。しかし最近になり、マクロライドが効かないマイコプラズマが流行してきています。まずマクロライド系を内服し、2〜3日経過しても熱が下がらない場合には耐性菌と判断し抗菌薬を変更します。
<第二選択>
💊ニューキノロン系(15歳未満の小児の場合トスフロキサシンを使用)
💊テトラサイクリン系(8歳未満への使用は、歯の着色や一過性の骨発育不全の恐れがあり推奨されておりません)
✋注意点✋
・マイコプラズマには、一般的な肺炎で使用する抗菌薬(ペニシリン系やセフェム系)は効果がないので、上記のようなマクロライド系・ニューキノロン系・テトラサイクリン系の抗菌薬を使用することが大切です。
・抗原検査は陽性率が低く、本当は陽性なのに陰性の結果が出てしまうことがあるため、マイコプラズマの流行具合や症状経過・肺炎像などから判断していきます。
・部活単位、クラス単位で感染が広がることが多く、周囲に同じような症状がいる場合には診察時に教えていただければ幸いです。
💫少しでも咳で困る患者様がいなくなりますように💫